久しぶりに身体を動かしたり、スポーツ的なことをした時、いやな音とともに激痛が走る肉離れを経験された方、あの時の痛みは言葉では言い表せないほどの激痛ですが、声も出ないくらいの痛みだと表現される方もいます。
肉離れは特に太ももに起こりやすいのですが、その原因などを知っている人はまだまだ少ないです。太ももの肉離れの原因や症状、治療方法などを紹介いたします。
太ももの肉離れの症状
太ももの肉離れの症状は3段階に分けられます。それぞれの段階での症状の詳細をみていきましょう。
1.軽度
筋肉を動かすと痛みがある程度です。この段階では、小さな範囲で部分的に筋肉の断裂が起きている程度なので、自分で歩くことはできます。
安静にしていれば、自然に治っていきます。
2.中度
筋肉を押すと痛い部分があります。筋繊維の一部が断裂していたり、筋膜が損傷して皮下内出血が起きている状態です。この段階だと、自分で歩くことは難しいことがあります。歩くこともできる場合もありますが、筋肉はかなり傷ついていますので、早めに病院を受診するようにしてください。
3.重度
この段階になると、肉離れしている部分がへこんでいるのですぐにわかります。筋肉の部分断裂がかなり深く、もうすでに歩行は困難になっています。かなりの痛みを伴いますので、一刻も早く病院で治療を受けるようにしてください。
重度の肉離れになると、回復までに軽度や中度の倍以上の時間がかかりますので、あせらずに時間をかけて治していくようにしてください。
太ももの肉離れが起こる原因
太ももの肉離れの原因は、次の3つが考えられます。
1.筋力の低下によるもの
ずっと運動をしていなかった人が、いきなり運動を始めることで、衰えていた筋肉に負荷がかかることで肉離れすることがあります。
また、筋肉を日常的に酷使していると筋肉が疲労でパンパンの状態になります。その状態の時に負荷をかけると、筋繊維が断裂してしまうのも納得できます。
2.柔軟性の不足によるもの
太ももの肉離れを起こしやすい部分は、太もも後ろの面にある大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋、の筋肉群である「ハムストリングス」です。このハムストリングスの柔軟性が不足することで肉離れを起こしてしまいます。
3.拮抗筋とのバランスの悪さによるもの
太ももの前にある大腿四頭筋とハムストリングスの伸縮があるのでスムーズに足を動かすことが出来ています。この、太ももの前と後ろの筋肉のバランスが悪くなると、ハムストリングスが切れ、肉離れをおこした状態になってしまいます。
どのような治療を行うのか
肉離れの治療法はいくつかありますので、ご紹介します。
1.RICE療法
肉離れの応急処置の方法を「RICE処置」とよんでいます。これは、スポーツで起こり得る障害全般にも使える応急処置方法の基本となるので覚えておきましょう。
RICEの意味は、
R:Rest、安静を意味します。患部を動かないようにしっかりと固定します。
I:Icing、冷却を意味します。肉離れを起こすと内出血しやすいので冷却します。
C:Compression、圧迫を意味します。出血や腫れをおさえる包帯やサポーターなどで適度に患部を圧迫します。
E:Elevation、拳上を意味します。患部を心臓よりも高い位置にします。
になります。これらの応急処置を肉離れの後にすぐにやるかやらないかで、治り方が違ってきます。
2.温熱療法
肉離れを早期治癒させたい場合に用いられる方法で、RICE療法をした後に症状が広がらないようにします。患部を温めることで血行を促し、自然治癒力を高めます。
3.テーピング
肉離れをしてしまったら、できるだけ患部を固定することが大切です。これは、肉離れが軽度であっても重度であっても同じで、テーピングやサポーターでしっかりと患部を固定することで、負荷を軽減させて、回復をサポートします。
完治するまでは、テーピングをするようにしましょう。
これらの他にも、湿布や塗り薬、飲み薬などもありますので、自分の症状に合ったもので治療するようにしましょう。
肉離れと筋肉痛の違い
肉離れと筋肉痛は、どちらも筋肉を痛めるので判断をつけにくいこともあります。ですが、わかりやすい違いとしては痛み方です。筋肉痛は太もも全体が痛くなるのに対して、肉離れは局所的な痛みで、指で押すとピンポイントで激痛が走るような痛みなので、圧倒的に筋肉痛とは違いがあります。
痛みの治まり方にも大きな違いがあります。筋肉痛は時間の経過とともに痛みもなくなっていきますが、肉離れは処置をした後も回復までには時間がかかる傾向にあり、肉離れの段階にもよりますが、3週間ほどかかることもあります。
重度の肉離れになると、内出血を起こしていることもあるので、皮膚の色が変わったり、かなり腫れてしまうこともあるという点でも見分けることができます。
肉離れは早めの処置が大切
肉離れを起こすと、完治までには時間がかかります。早期治癒は、早めの応急処置と治療が大切です。
「肉離れはほっとけば治る」などという方もいますが、それは軽度の肉離れの場合だけで、中度や重度になるときちんとした治療が必要になります。過信せずに、医療機関で診てもらうようにしてください。
日常生活のなかで、軽めの運動やストレッチをすることで肉離れを予防することができますので、ちょっとした時間に身体を動かすようにしてください。