妊娠中、特にお腹の大きくなる妊娠後期になると手足のしびれを感じる妊婦さんがたくさんいらっしゃいます。中には、夜も眠れないくらい酷い症状を訴える方も。
手足がしびれていると、不快なだけでなく転倒の恐れもあり大変危険です。でも、なぜ妊婦さんは手足がしびれやすいのでしょうか?一体いつになったら手足のしびれから解放されるのでしょうか?
妊婦さんの手足のしびれの原因や対策方法について詳しくご紹介しましょう。
なぜ妊娠中に足がしびれるのか
妊婦さんの手足のしびれの原因としては、大きく3つのものが考えられます。
・自律神経の乱れ
・血流の滞り
・ビタミンB1の不足
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
自律神経の乱れ
妊娠中はホルモンバランスの崩れや心身のストレスから自律神経が乱れてしまうことがよくあります。
自律神経が乱れると血液の流れが悪くなり、神経が酸欠に陥って手足のしびれに繋がります。
血流の滞り
自律神経の乱れ以外にも血流が滞る原因があります。それは、お腹の赤ちゃんの成長に応じて大きくなった子宮が、周囲にある骨盤や腎臓、腹部、そして血管や足の神経を圧迫してしまうことです。
実は、妊婦さんの足のだるさやしびれの原因のほとんどは大きくなった子宮による圧迫で、特にお腹の大きくなる妊娠後期に発生しやすくなっています。
ビタミンB1の不足
妊婦さんは常に胎児に栄養を送り続けているため、栄養不足に陥りがちです。特に、血行促進効果のあるビタミンB1が不足すると、手足のむくみやしびれを引き起こしてしまいます。
そのしびれ、胎児の成長の証かも?
自律神経の乱れや血流の滞り、ビタミンB1の不足以外にも、実はもう一つしびれの原因があります。
それは、「骨盤の開き」です。
妊娠初期と後期には、骨盤やそのまわりの靭帯をゆるめる女性ホルモンが分泌されます。このリラキシンの働きで骨盤が開き、赤ちゃんがスムーズに生まれてくることができるのですが、それによって坐骨神経を圧迫したり、ゆるんだ骨盤を支えようと骨盤周りの筋肉が緊張してしまうんです。
こういった骨盤周りのはたらきにより、妊娠初期は腰やお尻の奥、足の付け根などに痛みを感じやすく、妊娠後期は体重の増加も加わり足のしびれを感じやすくなるんです。
子宮が大きくなったり、骨盤が開いたりするのは、赤ちゃんが順調に成長して生まれてこようとしている証であり、それはそれで喜ばしいことですが、歩くことも眠ることもできないような酷いしびれを感じたり、しびれが長く続いたりするのは辛いものですし、転倒などの危険性もあります。
お母さんのストレスを軽減するためにも、しびれを解消した方が良いでしょう。
妊娠中の足のしびれの対処法
妊娠中の足のしびれを軽減する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
しっかりとお腹を支える
腹帯やサポーターを使用して大きくなったお腹をしっかりと支えてあげることで、血管や神経への圧迫を軽減して、しびれを楽にすることができます。
骨盤の開きによってしびれが起こっている場合は、妊娠中でも使用できる骨盤ベルトを使って骨盤を締めるのも有効です。骨盤ベルトの正しい着用にはコツが必要なため、産婦人科医などに着用の仕方を教えてもらうようにしましょう。
体を温める
しびれている部分を蒸しタオルや温かいシャワーで温めることで血行を促進し、しびれを改善することができます。
また、日常生活でも冷たい飲み物ではなく温かい飲み物を飲んだり、レッグウォーマーや腹巻きを使用したり、半身浴を行うなどして体を冷やさないようにしましょう。
ただし窮屈な衣類で体を締め付けると血行が悪化し、痺れの原因となってしまいますので、レッグウォーマーや腹巻きは締め付けの強くないもの、妊婦さんにも対応したサイズのものを使用するようにしましょう。
指先の運動を行う
しびれた手足の指を曲げたり伸ばしたりすることで、しびれをやわらげることができます。
グーパーするだけでなく、グーチョキパーと順番に動かしたり、指を一本ずつバラバラに動かすなどした方が効果があります。
指先を動かすことは血行の改善にも繋がり、しびれの予防にも有効です。
食べ物を工夫する
ビタミンB1を多く含む食品を積極的に摂ることで血行不良を改善・予防することも大切です。
ビタミンB1は豚肉や納豆、トマトやゴーヤ、パセリなどに多く含まれています。
いつ治まるの?
妊娠中のしびれは、赤ちゃんの成長や妊娠によるホルモンバランスの崩れが原因であるため、根本的には出産するまで解消されません。そのため、しっかりとお腹や骨盤を支えたり、体を温めたり、ビタミンB1を積極的に摂るといった対応が必要になります。
妊娠中のしびれは辛く、不安を感じてしまうかもしれませんが、出産後振り返ってみれば一瞬の出来事であったと思えるでしょう。精神的なストレスはお腹の赤ちゃんにもよくありませんので、あまりナーバスにならず「妊娠中はこんなもの」と開き直ってしまうことも大切です。
しびれの予防やしびれたときの対応をしっかりと行い、赤ちゃんと一緒にこの時期を乗り切ってください。