脚のむくみは多くの妊婦さんが経験するトラブルの1つです。
たかかむくみと放っておくと、日常生活に支障が出たり静脈瘤の原因になってしまうこともあるので、早めに解消することが大切です。
今回は、むくみの原因や解消法、むくみ解消に効果的な食べ物や飲み物についてご紹介します。
そもそも「むくみ」とは?
むくみは、正式には「浮腫(ふしゅ)」といいます。
体の中の不要な水分や老廃物が排出されずに溜まり、その部分が腫れてしまうことです。怪我をしたときなどにできる腫れとは違い痛みはなく、手で押すと跡がつくのが特徴です。
むくみに悩む女性は多いと思いますが、妊娠中は特にむくみやすく、妊婦さんのうち3割の方がむくみに悩まされていると言われています。
妊婦さんはなぜ足がむくむのか?
妊婦さんがむくみやすい原因としては、妊娠していない人にも当てはまるものもあれば、妊婦さん特有のものもあります。
・塩分の摂り過ぎ
・栄養バランスの悪い食事
・身体の冷え
・運動不足
・体重の増加
・窮屈な衣服などによる締め付け
・同じ姿勢でいる時間が長い
・ストレスや疲労、睡眠不足などによる自律神経の乱れ
・骨盤内部の血流増加
・ホルモンの影響で水分とナトリウムが体内に溜まりやすくなっている
・お腹が大きくなることで下腹部の正常脈が圧迫されている
妊娠12週から体内の血液が増加しはじめ、34週目には血液量は妊娠前の1.5倍になるとされています。血液はお腹の赤ちゃんに栄養を送るために必要不可欠なものですので、血液量が増えることは自然な現象であり、何も悪いことではありません。
しかし、血液は約90%が水分でできており、血液量が増えるということはそれだけ体内の水分量も増えるということです。
水分量が増えるとそれだけむくみやすくなり、特に妊娠後期は大きくなったお腹で下腹部や足の付け根の血管が圧迫され、足に降りていった血液が心臓へと戻るのを阻害してしまいます。また、お腹が大きくなってきたことで十分な睡眠が取れなくなってくると、自律神経が乱れてむくみやすくなってしまいます。
血液量が増え、ホルモンの影響で水分とナトリウムが体内に溜まりやすくなっているのに血液をスムーズに循環させることができない、これが妊婦さんがむくみやすい理由です。
足のむくみを解消する方法
妊娠前とは同じような生活や活動ができない妊婦さんでもできるむくみの解消法として、以下のようなものがあります。
適度な運動
激しい運動は絶対に避けるべきですが、適度な運動は妊婦さんにとっても必要なものです。
普段のお買い物やお出掛けは車やバスを使わずに体の負担にならない程度の距離を歩く、天気のいい日はお散歩をするなど、適度なウォーキングを行いましょう。
決して無理はせず、手足をしっかりと振ってのんびりとリラックスして歩くのがポイントです。
身体を温める
妊婦さんに限らず、身体の冷えは血流を悪化させ、むくみを生じさせてしまいます。
赤ちゃんの入っているお腹だけではなく、首、手首、足首の「3つの首」を意識して温めるようにしましょう。寒い時期には外出時にマフラーや手袋を使用するのはもちろんのこと、寝るときにもタオルなどで首を温めておくと、ぐっすり眠ることができますよ。
足首を温めるにはレッグウォーマーや厚手の靴下が最適ですが、締め付けの強いものは血行不良の原因となるので注意しましょう。
深めの洗面器やバケツ、専用の容器などに37℃程度のぬるめのお湯を張って足湯をするのもおすすめです。足湯の間は好きな音楽を聴いたり、お腹の赤ちゃんとお話しするなどしてゆったりとリラックスして過ごしてください。
お好みのアロマオイルを数滴お湯に混ぜても構いませんが、妊娠中には使えないアロマオイルもあるため、事前に専門家に相談の上使用するようにしましょう。
マッサージ
マッサージで血行を促進し、老廃物の溜まったリンパの詰まりを取ると、足のむくみやそれによる怠さを解消することができます。お風呂上がりなど、身体が温まって血行が良くなっているときに行うと効果的です。
揉む、さする、ひねるなどの動作をしながら、足指から土踏まずや足の甲、足首、ふくらはぎ、そして太ももへと流すようにマッサージするのがポイントです。特に足首と膝、膝裏はリンパの溜まりやすい場所なので、しっかりとマッサージしましょう。
ただし、お腹に負担がならないように姿勢に注意しながら行いましょう。可能であれば旦那さんにマッサージしてもらうのも良いですね。
衣類を見直す
妊婦さんのお腹は日々大きくなっているため、知らず知らずのうちに衣服のサイズが合わなくなり、身体を締め付けてしまっていることがあります。お腹が大きくなるのに合わせて服を買い直すことはできませんから、お腹が大きくなっても身体の締め付けの少ない服や下着を選ぶようにしましょう。
また、ヒールの高い靴などは足を締め付けるだけでなく店頭の恐れもありますので、妊娠中はできる限り控えるようにしてください。
最近はむくみ解消に効果のある靴下やストッキングも販売されています。むくみの解消と冷え対策を同時にできて一石二鳥ですよ。
十分な睡眠をとる
お腹が大きくなってくると身体が圧迫されて寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなってしまう妊婦さんも多いです。眠り方を工夫して、良質な睡眠をとることができるよう心掛けましょう。
身体の左側を下にして横になり、左足は伸ばしてやや後ろに下げて右足は膝を曲げ、身体は左手を背中側に回してお腹に負担がかからない程度にうつ伏せがちになるシムスの姿勢がおすすめです。クッションや抱き枕を抱くと、シムスの姿勢をとりやすいですよ。
また、横になるときに足を高くしておくと、足から心臓への血流が良くなります。撚る眠る時はもちろんのこと、ちょっと横になって身体を休めたいときにも足の下にクッションを置いて、20cm程度足を高くしておくと良いですよ。
食べ物や飲み物で足のむくみを解消する方法
食べ物や飲み物を工夫することで、むくみを解消することもできます。
塩分は控えめにする
塩分の多い食事は一般の人にもよくありません。摂りすぎた塩分を薄めるために身体が水分を多く取り込み、むくみに繋がってしまいます。
特に妊娠中はナトリウムが体内に溜まりやすくなっているため、外食やインスタント食品は避け、自宅で料理をする場合もできるだけ素材の味を活かした塩分控えめの味付けを心掛けましょう。
カリウムを摂る
カリウムは体内の余分なナトリウムを尿として排出する作用があるので、むくみ解消のために積極的に摂るようにしましょう。
カリウムを多く含む食品としては、以下のようなものがあります。
・アボカド、バナナ、メロンなど果物
・海草類
・芋類
・大豆など豆類
カリウムは水溶性のため、野菜などを煮る場合には煮汁まで食べられる料理がおすすめです。
むくみ解消に効くお茶
利尿作用の高い杜仲茶やタンポポ茶、血行促進効果のあるジンジャーティー、ミネラル豊富な麦茶がおすすめです。
これらのお茶はカフェインカフェインが含まれていませんので、妊娠中でも安心して飲むことができます。
むくみは特別なものではなく、多くの妊婦さんが経験するトラブルです。
締め付けの少ない服装を選び、適度な運動と質の良い睡眠、塩分控えめのバランスの良い食事などむくみにくい生活を心掛け、カリウムの多い食品やむくみ解消に効くお茶で体内に溜まったナトリウムを排出してむくみの解消を心掛けましょう